「避難所で命を落とさない防災」とは
2026年7月28日に発生した熊本地震は、震度7を観測するという、これまでに例の少ない大規模地震でした。
この地震では、多くの尊い命が失われました。しかし、忘れてはならないのは、地震そのものによる犠牲だけではなく、避難生活の中で亡くなられた「災害関連死」が数多く発生したことです。
私は看護師として長年医療の現場に携わり、その後も介護や福祉の現場で仕事をしてきました。
その経験から強く感じるのは、
「災害で命を守る」とは、地震から逃げることだけではない
ということです。
避難した後も健康を守り、安心して生活できる環境があって初めて、本当の意味で命を守ることにつながります。
避難所で命を落とすという現実
熊本地震では、多くの方が自宅の倒壊や余震への不安から、避難所や車の中で長期間生活を送りました。
その結果、
- エコノミークラス症候群
- 肺炎
- 脱水
- 持病の悪化
- 精神的ストレス
などにより、多くの災害関連死が発生しました。
地震から助かった命が、その後の生活環境によって失われてしまったことは、私たちが決して忘れてはならない教訓です。
看護師として感じた「避難生活」の厳しさ
看護師として働いていた頃、病気や高齢により体力が低下している方は、ほんの少し環境が変わるだけでも体調を崩すことを数多く経験しました。
例えば、
- 水分を十分に取れない
- 睡眠が取れない
- 服薬が中断する
- トイレを我慢する
- 身体を動かさなくなる
こうしたことが重なると、健康状態は急速に悪化します。
特に高齢者は、一週間寝たきりになるだけでも筋力が大きく低下すると言われています。
避難所での生活は、健康な人でも大きな負担です。
高齢者や障がいのある方、持病のある方にとっては、命に関わる問題になることも少なくありません。
「避難できた」で終わらせない防災へ
防災というと、
- 非常持ち出し袋
- 備蓄
- 避難経路
に目が向きがちです。
もちろん、どれも大切です。
しかし、本当に重要なのは、
「避難した後も健康を守れるか」
という視点です。
例えば、
- 持病の薬は足りるか
- 食事は取れているか
- 十分な水分を取れているか
- 歩く機会が確保されているか
- 介護が必要な方への支援は届いているか
こうしたことを平時から考えておく必要があります。
室蘭だからこそ考えたいこと
室蘭市は高齢化率が高く、独り暮らしの高齢者も増えています。
また、坂道が多い地形や冬季の積雪・寒さなど、災害時には地域特有の課題があります。
もし大きな災害が発生したとき、
- 高齢者は安全に避難できるだろうか。
- 避難所で安心して過ごせるだろうか。
- 介護が必要な方への支援は十分だろうか。
- 医療が必要な方への対応は整っているだろうか。
こうした視点で備えを見直すことが重要です。
医療・介護・福祉が連携した防災へ
災害時に命を守るためには、
行政だけでは十分ではありません。
- 医療機関
- 介護事業所
- 地域包括支援センター
- 民生委員
- 自主防災組織
- 町会・自治会
それぞれが日頃から顔の見える関係を築き、情報を共有しておくことが大切です。
私は看護師として、病院の中だけでは患者さんの生活を支えきれないことを何度も経験してきました。
退院後の生活、介護、地域とのつながりがあってこそ、安心して暮らし続けることができます。
災害時も、それは同じです。
医療・介護・福祉が切れ目なく連携することが、命を守ることにつながります。
命を守る防災は、「人を守る防災」
熊本地震は、私たちに多くの教訓を残しました。
その中でも最も大きな教訓は、
「避難すること」が目的ではなく、「命と健康を守り続けること」が防災の目的である
ということです。
防災は、防災訓練や備蓄だけではありません。
避難生活の中で、高齢者や障がいのある方、持病のある方が安心して過ごせる環境を整えることも、防災の大切な役割です。
私はこれからも、看護師として培ってきた経験を生かしながら、
「誰一人取り残さない防災」
そして、
「避難所で命を落とさない防災」
の実現に向けて、議会活動を続けてまいります。




