令和7年度の室蘭市一般会計決算審査で、市立室蘭看護専門学院の運営状況と、今後の看護師養成のあり方について質問しました。
看護師は、病院だけでなく、介護施設や在宅医療など、私たちの暮らしを支える大切な存在です。
しかし、少子化による入学者の減少や市立室蘭総合病院の閉院など、看護師を育てる環境も大きな転換期を迎えています。
今回の決算審査では、教育に使われた予算の妥当性を確認するとともに、これからの室蘭・西胆振地域に必要な看護師をどのように育て、確保していくのかという視点から質問しました。
看護学生の減少が続いています
入学定員60人に対し、入学者は35人
市立室蘭看護専門学院の入学者数について、過去5年間の状況を確認しました。
| 年度 | 入学定員 | 入学者数 |
|---|---|---|
| 令和4年度 | 80人 | 43人 |
| 令和5年度 | 50人 | 48人 |
| 令和6年度 | 50人 | 48人 |
| 令和7年度 | 60人 | 37人 |
| 令和8年度 | 60人 | 35人 |
令和8年度の入学者は35人で、定員の約58%にとどまっています。
少子化や看護系大学への進学など、学生を取り巻く環境は変化しています。今後も現在の定員規模を維持することが適切なのか、地域の看護師需要と合わせて検討する必要があります。
学生募集の新たな取り組み
学院では令和7年度に指定校推薦制度を初めて実施し、応募した4人全員が入学しました。
また、令和8年2月のオープンキャンパスには、管内から53人が参加しています。
こうした取り組みは重要ですが、入学者数の増加につながっているか、継続的に効果を確認することも必要です。
卒業生の92%が西胆振地域で活躍
一方、市立室蘭看護専門学院は、地域の看護師確保に大きな役割を果たしています。
令和4年3月から令和8年3月までの5年間の卒業生224人のうち、室蘭市内に就職した方は169人で約75%、室蘭市以外の西胆振地域に就職した方は39人で約17%でした。
合わせると、約92%の卒業生が西胆振地域に就職しています。
これは、地域で看護師を育て、地域の医療を支える人材として送り出していることを示す大切な実績です。
若い世代が室蘭で学び、地域で働く機会を確保することは、人口減少対策の面からも重要だと考えています。
教育の質と予算の使い方も確認
令和7年度の看護専門学院費は、予算現額約3,787万円に対し、支出済額は約3,240万円で、執行率は約85.6%でした。
約547万円の不用額が生じたことから、教育内容への影響がなかったか確認しました。
市からは、実際の学生数や指導体制に応じて予算を執行しており、教育内容への影響はなかったとの答弁がありました。
また、看護技術を学ぶためのシミュレータや導尿モデルなどの教材が整備され、病院実習に出る前の技術習得や、実習では経験しにくい場面の学習に役立っているとの説明もありました。
学生数が減少しても、看護師として必要な知識や技術を十分に学べる教育環境を維持することが大切です。
市立病院の閉院による学生への影響
市立室蘭総合病院の閉院は、看護学院で学ぶ学生や、これから入学を考える高校生にとっても大きな問題です。
特に、市立病院の奨学金を利用している学生にとって、卒業後の進路は切実な課題です。
市からは、関係機関と合同で説明会を開催するとともに、学生一人ひとりへの個別相談を行い、進路に関する不安や悩みの把握に努めているとの答弁がありました。
また、学院の将来や存続について不安を抱いている高校生や高等学校があることも認識しているとのことでした。
学生が安心して学び、将来の進路を選択できるよう、丁寧な説明と継続した支援が必要です。
看護学校のこれからを地域全体で考える
日鋼記念看護学校との連携や統合も選択肢に
室蘭市内には、市立室蘭看護専門学院のほかに、日鋼記念看護学校があります。
両校とも学生確保などの課題を抱える中、今後もそれぞれの学校を現在の形で維持していくことが最善なのか、検討する時期に来ていると考えています。
今回の質問では、学校の単独継続や定員の見直し、教育機能の共同化、統合、他の教育機関との連携など、複数の選択肢を比較検討する必要性を指摘しました。
そのためには、各校の入学者数や卒業生の就職状況、教員や実習先の確保、運営経費などを共有し、地域全体で考えていくことが重要です。
市が中心となった協議の場を提案
私は、室蘭市が主導し、室蘭市医師会や日鋼記念看護学校の設置者など、関係機関が参加する協議の場を設けることを提案しました。
市長からは、看護師養成にはさまざまな課題があり、多角的な検討が必要との認識が示されました。
また、学校の統合には難しい面があるとの意見も踏まえ、室蘭市医師会をはじめとする関係機関と意見交換を行いながら、最適な看護師育成環境の維持に努めるとの答弁でした。
具体的な協議の開始時期や方向性を示す期限については、明確な回答はありませんでした。
地域医療を支える看護人材を未来につなぐために
私はこれまで、看護師として医療現場に携わり、看護教育にも関わってきました。
その経験からも、看護師を育てるには、教員や実習施設、教育設備など、さまざまな環境を整える必要があると感じています。
看護学校のあり方を考えることは、単に学校を存続させるか、統合するかという問題ではありません。
大切なのは、室蘭・西胆振地域で必要とされる看護師を、将来にわたって安定的に育てていくことです。
少子化が進む中でも、若い世代や社会人が看護師を目指し、安心して学べる環境を整えることが求められます。
地域の医療体制が大きく変わろうとしている今だからこそ、看護師養成の将来像について、関係者が具体的な検討を進める必要があります。
これからも、地域医療を支える人材の確保と、質の高い看護教育の維持に向けて取り組んでまいります。






