10月も半ばを迎え、室蘭では朝晩の冷え込みが感じられる季節になりました。これから本格的な冬を迎えるにあたり、皆さんのご家庭では、冬の災害への備えはできているでしょうか。
地震や津波、大雨などの災害は季節を選びません。しかし、冬の北海道では、災害そのものに加えて「寒さ」が命に関わる大きな問題になります。
特に停電によって暖房が使えなくなった場合や、避難先で十分な暖を取れない場合には、低体温症などの健康被害が心配されます。
今回は、室蘭の冬に備えて、家庭でできる防災対策について考えてみたいと思います。
冬の災害で怖いのは「寒さ」
停電で暖房が使えなくなったら
冬の北海道で地震などによる大規模停電が発生すると、暖房設備が使えなくなる可能性があります。
石油ストーブやガス暖房でも、電気を必要とする機種は停電時に使用できません。
また、暖房が止まった住宅では、時間の経過とともに室温が低下します。特に高齢者や乳幼児、持病のある方などは、寒さによる健康への影響に注意が必要です。
2018年の北海道胆振東部地震では、北海道全域に及ぶ大規模停電が発生しました。9月の災害でしたが、もし厳冬期に同じような停電が起きたらどうなるでしょうか。
冬の防災では、食料や水だけでなく、暖かさをどう確保するかという視点が欠かせません。
低体温症は屋内でも起こります
低体温症とは、体の深部の温度が異常に低下した状態をいいます。
寒い屋外だけでなく、暖房のない室内でも、寒さに長時間さらされることで起こる可能性があります。
体が震える、動作が鈍くなる、反応が悪くなる、意識がはっきりしなくなるなどの症状が見られることがあります。
看護師としての経験からも、特に高齢者は体温調節機能が低下しやすく、寒さへの対応が遅れることが心配です。
強い眠気や意識の低下などが見られる場合は、重い低体温症の可能性があります。速やかに119番へ通報し、救急隊の指示を受けることが重要です。
家庭で準備しておきたい冬の防災用品
暖房と防寒用品を備える
停電時にも使える暖房器具や、防寒用品を用意しておくことが大切です。
- 電気を使わないタイプの暖房器具
- 毛布、寝袋、保温シート
- 厚手の靴下、手袋、帽子、防寒着
- 使い捨てカイロ
- 懐中電灯やLEDランタン
- モバイルバッテリー、携帯ラジオ
ただし、石油ストーブやカセットガスストーブなどを使用する場合は、一酸化炭素中毒や火災を防ぐため、製品の使用条件を守り、定期的な換気が必要です。
屋内使用が認められていない器具や、発電機、炭火などを室内で使用してはいけません。
また、暖房器具があっても、燃料がなければ使えません。灯油やカセットボンベなどの備蓄についても、安全な保管方法を含めて確認しておきましょう。
食料と水、そしてトイレの備え
災害への備えとして、飲料水や食料は最低3日分、できれば1週間分程度を目安に用意しておくことが推奨されています。
冬は温かい食事や飲み物が取れることも、体を冷やさないために役立ちます。
普段から食べている食品を少し多めに買い置きし、使った分を補充する「ローリングストック」もおすすめです。
また、忘れてはならないのが災害用トイレです。
地震で排水管が損傷した場合、便器に水を流すことで汚水があふれるおそれがあります。安全が確認できるまでは、携帯トイレなどを活用できるようにしておきたいものです。
冬の避難は、いつも以上に時間がかかります
雪道や凍結した道路に注意
室蘭は坂道や高低差のある住宅地も多く、冬は積雪や路面凍結によって移動が難しくなる場所があります。
普段なら歩いて行ける避難場所でも、雪道では時間がかかることがあります。
特に夜間の避難では、足元が見えにくく、転倒の危険も高まります。
日頃から避難場所を確認するとともに、冬に安全に移動できる経路についても考えておくことが必要です。
ただし、津波など一刻を争う災害では、寒さ対策のために避難を遅らせてはいけません。まず危険な場所から離れ、命を守る行動を優先します。
高齢者や支援が必要な方への配慮
一人暮らしの高齢者や障がいのある方、移動に支援が必要な方にとって、冬の避難はさらに大きな負担となります。
防寒着を着ることや避難用品を持ち出すことにも時間がかかる場合があります。
いざという時に誰が声を掛けるのか、どのように避難するのか、家族や地域で話し合っておくことが大切です。
支援する側も危険に巻き込まれないよう、無理のない範囲で協力できる仕組みを考える必要があります。
冬の避難所に必要なこと
冬の避難所では、暖房の確保だけでなく、床からの冷えを防ぐマットや毛布、温かい食事、衛生的なトイレなど、さまざまな配慮が必要になります。
特に高齢者や持病のある方、乳幼児などは、寒さによって体調を崩しやすいため、健康状態を確認できる体制も重要です。
また、避難所での生活が長引くと、運動不足や水分摂取の減少などによって、体調を崩す危険もあります。
避難所は、単に雨風をしのぐ場所ではなく、災害から助かった命を守り続ける場所でなければなりません。
室蘭市においても、冬季の避難所運営に必要な暖房設備や備蓄品、停電時の電源確保などについて、実際に機能する体制が整っているか、継続して確認していく必要があると考えています。
日頃の小さな備えが、大きな安心につながります
防災というと、特別な道具をたくさん準備しなければならないと思われるかもしれません。
しかし、まずは自宅にある防寒着や毛布を確認すること、懐中電灯の電池を点検すること、家族と避難先について話し合うことなど、身近なところから始められます。
そして、備えは一度準備したら終わりではありません。季節や家族の状況に合わせて見直していくことが大切です。
私は、看護師として命と健康を守る仕事に携わってきました。また、防災士としても、災害時に一人でも多くの方が安全に避難できる地域づくりの重要性を感じています。
冬の災害では、避難できた後も寒さから健康を守ることが必要です。
行政による備えはもちろんですが、家庭での準備や地域での声掛けも、大きな力になります。
これから本格的な冬を迎える室蘭。
皆さんも、この機会にご家庭の防災用品や避難方法を見直してみませんか。
誰もが安心して暮らせる室蘭を目指し、これからも地域の防災力向上に取り組んでまいります。








